ニュービジネスを生み出すもの

エンジン開発34年。ごく限られた狭い領域でしか生きてこなかった私が弊協議会に着任して3年になります。まだまだ知らないことが日々出てくる勉強中の身で甚だ恐縮ですが、素人なりにニュービジネスのネタについて考えてみます。
まずは、月並みですが、技術トレンドを概観しますと、IoT(Internet of Things)は外せないでしょう。IoTを大胆に分けると、ロボット、センサー、AI(人工知能)、ビッグデータから構成されるそうで、いずれもすでに我々の生活に深く入り込んでおります。この4つの要素をどう組み合わせ活用するかで、ものづくりが革新され、シェアリングエコノミーが発展し、全ての産業から行政(インフラ)に至るまで革新が進んでおります。私の乏しい知識で思いつくままに新時代を切り拓きそうなキーワードを挙げますと、ブロックチェーン、再生医療、ゲノム編集、人工光合成、スマートグリッド、ドローン、自動運転、空飛ぶ車などなどがあります。いずれもIoTあっての進化です。これらの技術が今後さらにどう発展するのかしないのか、どんな社会やニュービジネスを作るのか、私には想像もつきません。ただ、自信を持って言えるのは、新時代を創るのはAIではなく“人”である、ということです。
iPhoneの部品の半分が日本製品であることは有名な話ですが、日本に要素技術があるのに、iPhone全体を構想する“人”がいなかったということは悔しいことです。新しいことをやろうとすると、世間一般から、『理論的にできない』、『不可能』、『無理だ』、『実績あるの?』などと否定的な意見を山ほど頂戴します。それを乗り越えて新分野を開拓できる人たちの共通点は、若者、ばか者、よそ者、変り者、と一般に言われております。スティーブ・ジョブズも十分にその条件を満たしているようでした。
鉱物資源に乏しい日本の貴重な資源は“人”です。折しも、大学入試改革案が昨日公表され、知識を詰め込むだけの教育から、考える力や人間性を伸ばす教育を目指すそうです。従来、職場で重宝されていた業務命令に従順な社員が徐々に減少し、経験がなくても自分の意見を堂々と述べる人たちが職場に増えてくるのではないでしょうか。そういう若く、実績も経験もなく、社員として雇ったらどちらかというと扱い難いビッグマウス達を、見守り応援し育てることが、実はニュービジネス創出の近道なのではなかろうかと夢想する今日この頃です。

中国NBC 山内博文

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