「地域ブランド」って何??

地方では、「地域ブランド化による販路拡大」を目指して頑張っている事業者も多いと思います。また、支援機関側も「地域ブランド化」を指導します。しかし、「地域ブランド化」ってどういうことでしょうか?

どうも、一般に使われている「地域ブランド」という言葉の意味は、ひとつではないようです。「地域ブランド化」を考えるうえで、その中核となる「地域ブランド」の意味を明確にしないと、どんな議論を行っても行き違いのまま、そして実りのないものになってしまいます。そこで、「地域ブランド」の意味を、大まかに次の4つに整理してみました。

①商品自体が「地域ブランド」と呼ばれている場合

地方で、昔から売れ続けている商品や爆発的なヒットをした商品を、「地域ブランド」と呼んでいる例が多いようです。消費者は、その商品名を聞けば「ああ、あの商品ね」と思い浮かぶような力をもった商品です。例を挙げれば、伊勢名物のお餅「〇福」などがそうでしょう。

②お店自体が「地域ブランド」と呼ばれている場合

売っている商品自体もそうですが、「あそこで売っているものなら間違いない」と、信用を得ているお店も「地域ブランド」として認識されている例もあるようです。例を上げれば、銀座の「〇疋屋」のように、「果物そのものを買うこと」よりも「〇疋屋で買うこと」が重要視されるような場合がこれにあたるでしょう。

③同一地域で生産されている同一種類の商品が「地域ブランド」と呼ばれている場合

②とは逆に、どちらかというと、「どこのお店で買うこと」よりも、「特定の地域で生産されている商品を買うこと」が重視されている場合がこれにあたります。「青森りんご」「大間のマグロ」「信州そば」・・・・枚挙に暇はないようです。

④同一地域で生産されている複数種類の商品が「地域ブランド」と呼ばれている場合

一見、「特定の地域で精算されているいろいろな商品を買うこと」が重視されていようですが、実は「特定の地域で生産されているいろいろな商品を売ること」が重視されている例。どちらかというと消費者目線ではなく、行政や生産者目線での価値づけのようです。その多くは「〇〇(地域名など)ブランド」として売られていますが、その価値づけの成功例は少ないようです。

 

以上、大まかに4つの形態を見ましたが、①から順に消費者目線が低くなり、④が一番低くなります。そのことが、④の成功事例が非常に少ない、ひとつの理由なのではないでしょうか。

なお、④につきましては行政目線と書きましたが、実際、2005年の経済財政白書に、地域活性化に対する問題として、次のように書かれています。このように、④は、生産者と消費者との関係からではなく、地域活性化のための生まれたものといえるでしょう

(出典:経済財政白書2005年版 「地域の経済2005 第2節 活性化のための具体策―2.高付加価値型産業への転換― (2) 地域ブランドの確立による地域経済の活性化」より)

「90 年代は公共投資が地域の景気の下支え効果を果たし、景気をある程度平準化していたのに 対し、近年では、公共投資の減少が続いていることもあり、産業構成や輸出競争力の差異によ って、景気の回復力に地域差が生じている。 このような状況下にあって、地域ではその資源や知恵を最大限に活用して、自立的に経済を 活性化しようという意識が強まっている。構造改革特区や地域再生計画を申請し、認定を受け ることもその手法の一つである。 こうした中、地域の特徴的な商品やサービスに、地域名を付加して、他地域のそれと差別化 を図ろうとする、いわゆる「地域ブランド」を構築する取組みが、最近盛んになってきている。 そもそも、ブランドとは、商品・サービスの単価自体にブランドという付加価値がついて、 価格が通常の製品よりも高くなるという仕組みである。ブランドが成り立つためには、その製 品の品質自体が良いことはもちろんのこと、それ以上の何かを付けなければならない。また、 ブランドが成立すれば良しというわけではなく、ブランドを維持・向上させるためにはたゆま ざる努力が必要となる。しかし、働き手の減少が確実に見込まれる中で、付加価値の高い製品・ サービスにシフトしていくことはむしろ当然とも言える。 地域ブランドとは、地域+商品・サービスを名称とすることによって、それ自体を一体化し て、商品・サービス、ひいては地域そのものの価値を高めようとするものであり、道路や鉄道 を作るには地域横断的でかなり大がかりなものになるのに対し、地域独自の取組みができる、 つまり小回りが効くという利点があるとも考えられる。」

 

 

 

 

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