「買い物難民」救済へのアプローチ

過疎と高齢化が進むと、日常の買い物をどうしたらいいのかという、切実な問題が発生します。

過疎によって収益が悪化したスーパー等は撤退し、地元の小規模な小売店も経営者の高齢化や後継者難を理由に廃業していきます。また、過疎により収益が確保できないバス路線の廃止や、場合によってはタクシーも廃業となり、自分で運転できない高齢者は、日用品の買い物さえままならない「買い物難民」となってしまいます。そして、それにより高齢者自身もその地域に住めなくなり、一層過疎が進むという悪循環に陥ります。

そういった「買い物難民」を救済し、過疎と高齢化で発生する問題を少しでも解決しようという3つのアプローチに関する記事が、平成28年11月18日(金)付けの日経MJに掲載されていましたので、サマリーをご紹介します。

 

〇小売り業からのアプローチ「コープさっぽろ、過疎地に宅配網 誰も行かない だから勝てる」(第1面に掲載)

コープさっぽろは、物流を自前化し、物流コストの圧縮を図ったうえで既存の物流センターに加え、遠隔地にも「デポ」と呼ばれる小型拠点を設置し、後継者難等を理由に小売店が廃業している地域でも宅配を行い、売り上げを伸ばしている。「デポ」を設置することで、配達時間を1時間以内として食品の鮮度が守れるほか、配達にかかる時間が短くなったことで、その分配達員が利用者とのコミュニケーションを密にすることができ、独居老人の見守り事業はもちろん、配達員がご用聞きのような役目をはたしたり、生活用品だけでなく共催のような金融商品の勧誘もできるようになった。さらに、独自の流通を他社の荷物を運ぶことで、物流外販の収益もあがるようになったという。

〇物流業からのアプローチ「ヤマト、限界自治体救う?スーパーの商品 150円配達」(第1面に掲載)

ヤマト運輸が高知県で手掛ける「おおとよ宅配サービス」の記事。住民が町内の小売店に11時までに電話でほしい商品を注文、ヤマトが宅配便で午後6時までに配達する仕組み。町役場と商工会の支援を受け、住民は商品の代金に150円の送料を加えた額で利用できる。地元のスーパーには、1日3~4件の注文がはいる。そのスーパーでは車による移動販売も手掛けているが、すべての地区を毎日回ることは不可能。配達のニーズがあっても、1軒1軒が離れていて難しかったという。また、ヤマトの運転手が高齢者に異常がないか見守る役目も果たすという。

〇住民からのアプローチ「京都・丹後町、ライドシェア開始半年 高齢者の足に定着 過疎地の成功モデルに」(第4面に掲載)

京丹後市丹後町で一般の人がマイカーを使って有料で客を送迎する「ライドシェア」が開始されて半年後の状況をレポート。利用者はタブレット端末画面を指で3回ほどタップ、直後、事前に運転手として登録してある住民のスマートフォンがなり、その住民が自家用車で迎えに来る仕組み。運賃は1.5キロメートルまで480円、以遠は1キロごとに120円、タクシーの半分くらいの運賃となるらしい。ライドシェアは2006年に法律改正により、過疎地に限りNPO法人などが行えるようになった。地元NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」がライドシェアにお代表格、ウーバージャパンに配車システムで協力を仰ぎ、実現した。1日数件が定期的に利用しているもようで、一度使った住民の大半がリピート。ドライバーは60代を中心とする18人にお地域住民で彼らの健康状態は、NPOが対面得でチェックをおこなう。反響は大きく、これまでに30以上の市町村などが視察に訪れたという。

 

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